世界には私たち人類が知らないような、謎に満ちた様々な生き物が生息しています。
深海から空、標高数1000メートルの高地や砂漠、蒸し暑い熱帯雨林や氷点下のツンドラ地帯や洞窟の奥深くなど、人が到底生活できないような気候や場所にも、ワクワクするような知ったら話したくなってしまう生き物がいます。
そんな童心をくすぐるような大人でもワクワクしてしまう生き物たちを厳選してご紹介します!
1. 深海に生息するマッコウクジラ
image by NOAA United States. National Marine Fisheries Service / Public domain
マッコウクジラは動物好きの間では定番の哺乳類ですね。マッコウクジラは雄で体長18メートルほどにまで成長します。雌でも体長は14メートルほどになり非常に大きな哺乳類です。マッコウクジラの学名はPhyseter macrocephalusです。クジラの分類ではハクジラ亜目とヒゲクジラ亜目というものを現在使っていますが、大きな特徴の違いはハクジラは歯を持ち、ヒゲクジラは歯の代わりにヒゲを持ちます。マッコウクジラはハクジラ亜目に属します。
マッコウクジラは潜水能力が非常に高く、水深3000メートル以上に潜ることもあります。多くのマッコウクジラは水深1000メートルほどに生息しており、それは餌となるイカがその深さに多いからと考えられています。マッコウクジラは深海への適応は上手くいっていますが、浅瀬には弱く沿岸部に座礁すると生命に危険がおよびます。
※ちなみに、現在のヒゲクジラには有名どころの種としてシロナガスクジラやザトウクジラなどが所属します。ヒゲクジラとハクジラは約3390万年前という太古に分岐したのですが、その頃のヒゲクジラの仲間にはヒゲの代わりに歯が生えていました。そこから進化を繰り返し、歯はヒゲに変わったと考えられています。
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2. 新種の海底生物 ドウクツヒカリクモヒトデ
ドウクツヒカリクモヒトデをご存知でしょうか?ドウクツヒカリクモヒトデは日本の共同研究グループ(東京大学、中部大学、沖縄県立芸術大学)が2019年に発表した、オーストラリア北西部の海底洞窟に生息する新種のクモヒトデです。その名の通り、5本の触手を緑色に発光させる能力を有します。
2019年発見のドウクツヒカリクモヒトデの学名はOphiopsila xmasilluminansです。種小名のxmasilluminansの発音をカタカナ表記するとクリスマスイルミナンスとなり、幻想的で夢のようなキラキラした名前ですね。
3. 氷の国の覇者・ホッキョクグマ
image by jonsson.nick / CC BY 2.0
地球温暖化の影響を受けて地表温度が記録的に高くなっている北極圏ですが、それでも冬の間は0℃付近を記録する地域。そこで支配的な地位に君臨するのがホッキョクグマ(学名 Ursus maritimus)です。彼らはアザラシの肉を主食としていて、狩りでは大きく2通りの方法で獲物を仕留めます。
流氷地帯は彼らの絶好の狩場。アザラシが呼吸をするために開けた穴のそばでじっと待ち構え、呼吸しに浮上してきたアザラシを捕まえ地上に引き釣り出す。また、陸上で日光浴をしているアザラシを見つければ、忍び足で歩み寄り、時に流氷の割れ目などを利用して身を隠しながら近づきハンティングします。
厳しい北極圏で生きるため、餌を求めて氷の地を1000キロメートルも移動することも。厚い脂肪を蓄えているからこそ、過酷な北極圏の環境でも生き残ってきたのですね。
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4. 暗黒世界で生きるホライモリ
image by Gzen92 / CC BY-SA 4.0
洞窟という暗黒世界に生息する生物は意外と多いのですが、その一つがこのホライモリです。
ホライモリは細くてクリーム色をした両生類で成体になると長さは25センチほどになります。光の届かない地下300メートル以上も奥深くに生息するため、主食の昆虫を捕まえるために電気などを活用して動きを感知する。自然界での寿命は解明されていませんが、飼育下でも60年以上は生きています。こんな暗く地上からも距離がある場所で何十年も生活し続けるのは人類にとっては非常に厳しいでしょうし、到底真似できそうもありません。
ホライモリはアドリア海沿岸のアルプス山脈に生息し、同地域にあるスロベニアではユーロ導入以前に使用されていた国内通貨トラール(Slovenian Tolar)に印字されており国宝扱いされているのもマニア心をくすぐりますね。
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5. 熱帯雨林の夜の忍者 アブラヨタカ
image by Dominic Sherony / CC BY-SA 2.0
アブラヨタカ(学名 Steatornis caripensis)は夜行性の鳥で、体はおよそ45センチメートルほどになります。
南北アメリカの熱帯雨林の地下にある洞窟に巣を作り、日中は洞窟内にいて、夜になると外に出てきます。面白い特徴としてコウモリのようにエコロケーションという反響を利用した仕組みによって、暗い夜の熱帯雨林の中でも方向を見失わずに移動できるのです。
ヨタカという名前からは想像もつかないですが、アブラヨタカは珍しい果物食なのです。
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6. マツカサトカゲ
image by Calistemon / CC BY-SA 4.0
マツカサトカゲ(学名 Tiliqua rugosa)はオーストラリアの乾燥地帯に棲む爬虫類です。砂漠や半乾燥地帯に生息しており、高気温で水分も乏しい環境でよく生きていけるものです。寿命はなんと50年ほどというのも驚きですね。この地帯には天敵もいて、ヘビやディンゴの脅威にさらされています。
見た目が独特で、鱗は松ぼっくりのような形をしていて和名の由来にもなりました。
また雄雌のペアを作り(一夫一妻制)、毎年寄り添うようにして繁殖します。なんとも睦まじいですね。生まれた子を親トカゲは独り立ちできるまでの期間しっかり世話をします。親としてすごいのは、子育て期間中の雄は食事量が減って、周囲に警戒を強め続けることです。
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7. ハダカデバネズミ
image by Javier Ábalos / CC BY-SA
エチオピア、ケニア、ジブチ、ソマリアといった高地の乾燥地帯という過酷な環境の、しかも地下で生活する哺乳類のハダカデバネズミ。コロニーと呼ばれる群れを形成して、順位をつくります。繁殖では優位な雌1匹が子孫を残す権利を有し、雄も繁殖に参加できるのはわずか数匹。さらに、繁殖に参加できなかった個体は、コロニー内の社会的活動にせっせと参加します。例えば、コロニーで生まれた子の世話、餌の確保、コロニーの巣のメンテナンスなど。女王が君臨する限りは、順位変動はおこらず、女王は女王のまま、働きネズミは働きネズミのままです。哺乳類なのにアリのような社会的規律を持っていますね。
面白いのが、その食性です。草食動物ですが、植物の一部を残して植物が再び繁茂できるようにしておきます。また、自分や他の個体の排泄物を食べる点。一点明らかなのは、女王の糞をコロニー内順位下位の個体が食べる(食糞)と、食べた働きネズミは子育てをするようになる。女王の糞に含まれるエストロゲンの作用によるという結果を麻布大学の研究チームが発表して話題になりました。
他にもハダカデバネズミは多くの面白い特徴を持っています。
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いかがでしたでしょうか。
世界には私たちの想像を遥かに超えた環境で生きる生物がたくさんいます。ここでは紹介しきれませんでしたが、ガイアノートでは世界の生態系や生き物について分かりやすく解説しています。当サイトには他にも沢山コンテンツがありますので、楽しんで生き物について学んでみてください。新しい発見やヒントをもらえるかも知れません。