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ジャガーネコ

学名 : Leopardus tigrinus
日本語別名 : タイガーキャット
英名 : Oncilla
英語別名 : Northern tiger cat, Little spotted cat, Tigrillo

IUCNレッドリスト基準

危急(VU)

南米と中央アメリカの森林や低木林に生息する肉食性の哺乳類。

生息地・生息環境

ジャガーネコは主に南アメリカ(南米)で見られますが、中央アメリカでは少数の個体群が断続的に生息しています。標高は0mから3620m程度まで生息します。生息範囲は北は遠くコスタリカまで、南はアルゼンチンの最北端まで広がっています。
本種は森林生息地を好み、雲霧林、密集した熱帯林、山地性湿潤林、低山地性湿潤林を含む幅広い森林生態系に生息しています。落葉性樹林および亜熱帯林に拡大しているように見受けられ、ブラジルの半乾燥有刺低木林とサバンナにうまく生息しています。また、ジャガーネコはユーカリの単一栽培やプランテーション地帯にも見られます。

特徴

ジャガーネコは、南アメリカ(南米)で最も小さい野生の猫科動物の1種です。雄は体長80.5㎝から83.0㎝、尾長31.7㎝から36.0㎝ほど、雌は体長76.3㎝から78.0㎝、尾長27.0㎝から30.5㎝ほどになります。短くて厚い薄茶色から灰色の毛皮を持ち、黒色で縁取られた暗褐色のロゼット模様が点在しています。眼の色は、明褐色から暗褐色までさまざまです。
ジャガーネコはしばしばマーゲイやオセロットと間違えられます。本種は体格は小さいですが、それ以外はこれらの種に非常によく似ていますが、ジャガーネコはより細く、耳は大きく、マズル(鼻口部)が狭くなっています。さらに、この動物の眼はマーゲイの眼よりも横方向の位置にあり、尾はオセロットのものよりも長いのが特徴です。
ジャガーネコは主に夜行性ですが、カーチンガ(ブラジル北東部の半乾燥低木地帯)のような地域では主に昼行性のトカゲを捕食するために日中に活動する傾向があります。
繁殖期にはペアが見られることもありますが、きわめて単独生活を送る動物と見なされています。彼らは主に陸上で生活しますが、登ることも上手です。
雌の行動範囲は0.9㎢(平方km)から2.3㎢(平方km)で、雄の場合は4.8㎢(平方km)から17㎢(平方km)の行動範囲を持ち、同じ大きさの猫で想定される範囲よりも大きくなります。
野生のジャガーネコの雄は雌に対して非常に攻撃的である可能性があります。また、本種は自分よりも大きな動物を殺すことも珍しくありません。
ジャガーネコ間の意思疎通についてはあまり知られていません。若い子猫はゴロゴロと喉を鳴らしますが、成熟したジャガーネコはより短くリズミカルなゴロゴロという音を出します。

食べもの、栄養

ジャガーネコは肉食性で、主に齧歯類などの小型哺乳類、鳥類を食べます。また一部の地理的範囲ではトカゲ類を捕食することも知られています。時折、ジャガーネコは自分よりも大きな動物を捕食することがあります。
本種は鳥を食べる時、鳥の羽を綺麗にむしり取ってから摂食することもあります。捉えた獲物を即座に殺す時、ジャガーネコは獲物の頭蓋骨の後ろ側から突き刺して、脳幹と脊髄を切断して絶命させます。

生殖・繁殖・増殖

野生のジャガーネコの交配システムについては何も知られていません。しかし、飼育下では、一生同じペアでにいるように見えます。基本的には単独生活を送るジャガーネコも、繁殖ペアで共に行動している姿も記録されています。しかしこうした事からは野生でもつがいで行動するという確固たる印とは言えません。野生では雄は雌に対して非常に高い攻撃性を示すことが知られていて、このことからジャガーネコは非常に強い単独生活を送る動物だと考えられているからです。

発情期間は3日から9日間持続しますが、年齢と共にこの期間は短くなります。
ジャガーネコの交配は春先に行われ、妊娠期間は約75日です。雄は交尾の後は何も関わりを持ちません。本種は通常、繁殖間隔ごとに1匹の子どもを産みますが、3匹まで産むことがあります。出生直後の子どもは眼が開いていませんが、生後7日から18日頃に眼が開きます。子どもは生後5週から7週で固形食を食べ始め、生後3ヶ月までに通常は完全に離乳します。歯は生後21日後に生え始めますが、これはほとんどのネコ科動物よりも遅いです。しかし、この歯は通常は数時間以内に一斉に生えてきます。生後4ヶ月で子どもは完全に生活を独り立ちさせ、11ヶ月までには体も完全に成長します。
雌は生後2年で性的に成熟し、雄は生後18ヶ月で性成熟を迎えます。