生息地・生息環境
カンジキウサギは北方はカナダのニューファンドランド島からアラスカまで、南方はシエラネバダ山脈の南から中央カリフォルニアまで、ロッキー山脈ではユタ州南部とニューメキシコ州北部まで、そして、アパラチア山脈ではノースカロライナ州とテネシー州に続く地域に分布しています。
本種は北方林と山地上層の森林に住んでおり、これらの森林内では、カンジキウサギは密な低木層のある生息地を好みます。開けた土地、沼地、川沿いの茂み、杉の沼地、針葉樹の低地でよく観察されます。
特徴
カンジキウサギは、アメリカ大陸北部でしか見られない森林に生息する哺乳類です。後ろ足が大きいことから「スノーシュー(雪靴・かんじき)」と名付けられました。この足のお陰で、飛び跳ねたり歩いたりする時に雪に沈むのを防ぐことが出来ます。また、氷点下の温度から自身を保護するために足の裏には毛皮が生えています。敵から身を守る目的で環境に溶け込むカモフラージュのために、全身を覆う毛皮は冬の間は白くなり、夏の間は錆茶色に変わります。しかし、夏季でも腹側は白色をしていて、耳の縁は白色または乳白色になります。
カンジキウサギは、耳の端にある黒い毛皮の房によっても区別できます。耳の長さは6.2cmから7.0cmほどで他のほとんどのノウサギよりも短いことも特徴です。
本種は体長41.3cmから51.8cmほど、尾長3.9cmから5.2cmほどになり、特徴的な大きな後ろ足は長さ11.7cmから14.7cmになります。
カンジキウサギは主に夜行性の動物で、冬眠はしません。彼らは、一日のほとんどを「フォーム」と呼ばれる浅い窪みで過ごします。この窪みはシダ類の塊、低木の密生した茂み、倒れた木材の下に掘られる傾向があります。彼らは時々ヤマビーバーの大きな巣穴をフォームとして使うことがあるかもしれません。
繁殖期には、カンジキウサギは昼行性の行動様式に変化し、子どもは通常、成体よりも活動的で警戒心が弱いようです。本種は一般的には単独行動をする動物ですが、食事を摂る時には小さな集団を形成することがあります。通常、夜になると食事を摂取し、古くなった森の小道をたどってさまざまな植物や木を食べ歩きます。
彼らは非常に用心深く、一晩明るい時期には開かれた場所(オープンエリア)を避ける傾向があります。危険に晒されていると感じた場合、カンジキウサギはカモフラージュ色のため見つからないことを期待して静止するか、その場から逃げ出すことがあります。逃げ足は非常に高速で機敏で、成体ではひと蹴りで最大3mほど移動して、時速45km/時で走ることができます。カンジキウサギは小さな湖や川を泳いで渡ることもでき、捕食者から逃れるために水に入ることがあります。
食べもの、栄養
カンジキウサギは草食動物(葉食動物)です。彼らは草、シダ類、葉などのさまざまな植物材料を食べます。冬季にはつぼみ、小枝、常緑樹の葉、樹皮を食べます。また、冬季にはカンジキウサギは時々カンジキウサギの屍肉を食べることさえ知られています。
本種は、主に後腸で消化吸収を促進するために特定の糞便を再摂取することが重要です。
生殖・繁殖・増殖
カンジキウサギの繁殖様式は多夫多妻制(無差別)をとります。雄も雌も複数の相手と交尾します。
繁殖は緯度、場所、気象条件によって異なり、通常12月下旬から1月に始まり、7月または8月まで続きます。雌は交尾後におよそ36日から40日の妊娠期間を経て、1回の妊娠で1匹から8匹(平均2匹から4匹)の子どもを出産します。雌は多発情を示し、年に最大4回妊娠可能です。生まれた直後の子どもは完全に毛皮で覆われ、目は開いており、動くことが出来ます。子どもは出生後の短い時間内に(しばしば24時間以内に)、出生時の形態から変化します。子どもの大きさは繁殖期の終盤で生まれた個体の方が、春に生まれた個体よりも大きい傾向にあります。
出生地を離れた後も、兄弟姉妹は日中は近くにいて、毎晩1回5分から10分ほど集まって相互に助け合います。
子どもの離乳は生後25日から28日で起こります。しかし、この期間は繁殖期の最後に出産される子どもたちでは傾向は異なり、時に2ヶ月からそれ以上続く場合があります。
若い雌は通常生後1年で最初の繁殖活動を行います。