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フサオウッドラット

学名 : Neotoma cinerea
英名 : Bushy-tailed woodrat
英語別名 : Packrat

IUCNレッドリスト基準

低懸念(LC)

北米の砂漠や北方林、渓谷などに生息する長くて毛がふさふさしている尾を特徴とする哺乳動物。

生息地・生息環境

フサオウッドラットは北アメリカ西部、カナダ北極圏からアリゾナ州北部、ニューメキシコ州北部、東はダコタ州とネブラスカ州の西部まで分布しています。生息地は砂漠から北方林まで多岐にわたります。岩場やその周辺を好み、峡谷や崖、開けた岩場、崖錐の斜面などでよく生息します。廃墟となった建物や鉱山にも容易に適応します。

特徴

フサオウッドラットはアメリカやカナダに生息する齧歯動物です。長いもので体長の75%ほどになる大きさのふさふさの尾と、大きな耳ではっきりと区別されます。この大きくて穏やかな齧歯動物はリスのような見た目です。この種は雌雄で性的二形を示し、雄は雌よりも体長が平均して50%ほど大きくなります。雌雄を合わせた体長は27.3㎝から47.0㎝、尾長は12.0㎝から22.3㎝、後ろ足の長さは3.0㎝から5.2㎝、体重は166gから585gほどになります。成体の毛は長く、柔らかく、密集しており、通常、背中は灰色、側面は黄褐色で、足と腹部は白色をしています。
フサオウッドラットは一年中活動する動物です。夜行性で単独行動、非常に縄張り意識が強く、匂いのマーキングや対決的な出会いによって自分の範囲を守ります。生息域はかなり限定されています。以前は、巣から60m以上離れることはないと考えられていましたが、雌は巣から500mの場所まで採餌することが確認されています。
フサオウッドラットは、植物性材料や糞や結晶化させた尿で固めたその他の材料で排泄物やゴミで出来た山を作ります。巣は通常、岩の裂け目や小枝の山に隠れています。また、餌の貯蔵所をいくつか作り、冬の間利用します。この種は冬眠しません。
寿命はあまり知られていませんが、飼育下の個体1匹は5.8年生きました。

食べもの、栄養

フサオウッドラットは草食動物で、緑色の植物(葉、シュート、針状葉)を好みますが、小枝、果実、種子、木の実、キノコ、およびいくつかの動物質も食べることがあります。
アイダホ州南東部の調査では、草、サボテン、ソラマメ属、カラシナ、ヨモギ属を食草としており、節足動物も少々含まれていることが判明しました。より乾燥した環境では、より多くの多肉植物を食べます。

生殖・繁殖・増殖

フサオウッドラットの繁殖周期は完全にはわかっていません。
様々な著者が、一夫多妻制(1匹の雄が複数の雌と交尾する)、および/または多夫多妻制(雄と雌がともに複数の相手と交尾する-無差別制)と考えています。これらの結論は、交尾行動を観察したわけではなく、雄と雌の生息域の広さや重なりから導き出されることが多くあります。
フサオウッドラットの繁殖は主に5月から8月(春と夏)にかけて行われます。飼育下での妊娠期間は27日から32日です。母親は1年に1回から3回(最も高頻度は3回)の出産をして、1度に生まれる子どもは2匹から5匹程(平均3匹)です。しかし、雌は乳腺を4つ持っており、5匹以上の子どもが生まれると授乳されない可能性があります。雌は出産後12時間以内に再び繁殖することができるため、授乳中に別の子どもを妊娠することもあります。生まれた子どもの目は生後約15日で開き、生後26日から30日で離乳します。
雌は1歳で初めて交尾をします。

フサオウッドラットの画像